ヒューイ・デューイ・ルーイが登場する初期作品

『ドナルドの腕白教育(Donald’s Nephews)』1938年4月15日

ドナルドの腕白教育(Donald’s Nephews)

この作品は先行して新聞漫画で初登場していたヒューイ・デューイ・ルーイのスクリーンデビュー作品

あらすじ

ドナルドのもとに、妹のデラダック(ダンベラ)から
「天使のようなあなたの甥たちヒューイ、デューイ、ルーイの3人が遊びに行きます」
という内容の手紙が届く。
家のベルが鳴り、期待して扉を開けるドナルドだったが、現れたヒューイ、デューイ、ルーイの3人は三輪車に乗りながら家の中に突入しポロゲームを始め、ボールがあちこちに飛んで家の物が次々に破壊され始める。
暴れる3人に頭を抱えるドナルドだったが、目に留まった「今時の子供のしつけ方」という本に「暴れる子供を静めるには音楽を聞かせるのがいい」という記述を見つける。
ドナルドがピアノを弾き始めると3人は暴れるのをやめ、楽器を持ち一緒に演奏し始めたのも束の間、3人は楽器を使って遊び始めドナルドをからかう。
最後はウソ泣きをして甥たちを鎮めようとするドナルドだが、甥たちは激辛マスタードたっぷりのパイをお詫びのしるしとしてドナルド食べさせ、ドナルドに嘲笑を浴びせながら三輪車で走り去って行く3人だった。
ドナルドの腕白教育(Donald’s Nephews)

ミッキーの甥のモーティフェルディたちも手に負えない腕白ぶりだが、さらに輪をかけて酷いのがヒューイ・デューイ・ルーイの三人。

この作品で初めて登場する甥たちだが、手紙には差出人「sister Dumbella」サインがある。
彼女はヒューイ・デューイ・ルーイの母親ドナルドの双子の妹「デラ・ダック(Della Duck)」
本名は「ダンベラ・ダック」。

全くアニメーションには登場していなかったが、2017年放送開始のテレビアニメシリーズ『ダックテイルズ』(DuckTales)でデビューし、このシリーズによると彼女は熟練したパイロットで冒険家

『ダックテイルズ』では、デラは月へ向かうロケットに無断で乗り込み月から戻れなくなった。
10年に渡り月面生活を送り地球に帰還。
当時息子たちは卵だったたためその姿をまだ見ていないという設定。

また、彼女の夫でヒューイ、デューイ、ルーイの”父親”は今なお明かされていないが、ヒューイ、デューイ、ルーイが初めて登場する1937年のドナルドダック日曜版漫画では、デラはドナルドに、少年たちがいたずらで父親の椅子の下に爆竹を置いたので父親が病院に送られたと書いている。

この設定からするとヒューイ・デューイ・ルーイは保護者不在で、ドナルドと頻繁にいるのも理解できる。

『ドナルドの消防隊長(The Fire Chief)』1940年12月13日公開作品

ドナルドの消防隊長(The Fire Chief)
あらすじ

消防士として同じ家に暮らす、ドナルドが甥のヒューイ、デューイ、ルーイだが、ドナルドのいびきにうんざりして、彼を起こそうと火災報知器を鳴らす。
ドナルドは火事だと思い、飛び起きて急いで消防車に急いで乗り込むも、甥たちのいたずらと分かり、彼らを再教育することにする。
ドナルドは、ヒューイが消防車にちんたらと石炭を積んでいるのに苛立ち、バケツ一杯の石炭を消防車にぶち込む。
しかし火力が強すぎて火災になり警報機が鳴る。
ドナルドは火災発生に大慌てで出動するが、しばらく走って燃えていたのは自分の家であったことに気付き引き返す。
甥たちと共に火を消そうとするが、全く作業は捗らずに最後は放水ホースからガソリンを噴射。
家と消防車は全焼してしまう。

ドナルドとヒューイ・デューイ・ルーイで消防士が務まるわけもないんだが、最後は消防署と消防車が燃えてしまうというバカさが最高に楽しい。

消防士になる作品はミッキーマウスの短編シリーズにも2作品『ミッキーの消防夫』『ミッキーの消防隊』がある。

『ドナルドのずる休み(Truant Officer Donald)』1941年8月1日公開作品

ドナルドのずる休み(Truant Officer Donald)
あらすじ

ヒューイ、デューイ、ルーイが湖で楽しく遊んでいるところを隠れて見ていた、不登校監視員のドナルド。
彼は素早く3人を捕まえ、車に閉じ込め学校へ向かう。
しかし甥たちは工具を取り出し車から脱走。

ドナルドは彼らを追いかけ彼らのいる小屋に到着し、中に入ろうとするが、スイカを砲弾にした大砲で撃たれてしまう。
ドナルドは小屋ごとジャッキで持ち上げてバンに積み込もうとするが、ドナルドは小屋の下敷きに。
次にドナルドは小屋の外を燃やして、煙であぶり出す作戦に。
しかし、ちょうど彼らは鶏を3羽焼いているところだったので、それを逆手にとって鶏をベッドに置き、屋根から逃げる。
ドナルドは扉を開け中に入ると、ベッドに3羽の鶏が置いてあるのを見てびっくり仰天。
少年たちが生きたまま焼かれたと思い涙する。
その時、天​​使に変装したヒューイが現れる。。。

この物語では、ドナルドダックが不登校監視員として登場するが、これは子供たちが学校に通い続けるようにするという仕事で、当時のアメリカにはこういった仕事があったようです。

ドナルドのずる休み(Truant Officer Donald)

この映画は1942年にアカデミー賞短編アニメ賞にノミネートされたが、別のディズニーアニメ『プルートの悩み(Lend a Paw)』に敗れた。

ドナルドダックの短編49作品を監督したジャック・キング

今回紹介した作品はすべて「ジャック・キング(Jack King)」の監督作品。
彼は、1937年の『ドナルドの博物館見学(Modern Inventions)』 で初めての監督し、その後約11年間、ドナルドダックを主役にした初期作品の内、49作品を監督した。

彼は、1929年にウォルト・ディズニー・プロダクションのアニメーターとして入社。
1933年に退社するが、1936年に映画監督として再入社後、ドナルドダック短編映画シリーズの監督として頭角を現した。

その中の『ドナルドの少年団長(Good Scouts)』『ドナルドのずる休み(Truant Officer Donald)』『ドナルドの罪つぐない(Donald’s Crime)』アカデミー賞にノミネートされている。
また、作品の中には、 1943年米国財務省と共同で制作されたプロパガンダ映画『43年の精神(The Spirit of ’43)』もある。
彼の最後の作品は1948年7月公開の『ドナルドの裁判ざた(The Trial of Donald Duck)』 で、同年ディズニー社を退社。
10年間隠居生活を送った後、1958年10月4日にロサンゼルスで亡くなった。

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