ミッキーとミニーがラブラブな 戦前のカラー作品

『ミッキーの巨人退治(Brave Little Tailor)』1938年9月23日

『ミッキーの巨人退治(Brave Little Tailor)』
あらすじ
巨人の出現で大変なことになっている町で、仕立て屋のミッキー「一撃で7人を殺したよ!」と叫ぶことからミッキーが巨人退治を任される話で、ミッキーが叫んだ「一撃で7人を殺したよ!」というのはハエのことだったが、それを聞いた住民は「7人の巨人と仕留めた」と勘違い。

町中に噂になって、ついには王様に呼び出され、巨人を退治するようにとお願いをされてしまう。
ミッキーは断ろうとはするが、王様には「国を守ってくれたあかつきには、わが王国とミニー姫を妻として授けよう」と言われ、さらにミニーにも激しくキスされお願いされたため、舞い上がってしまったミッキーは「退治してやる!」とその気になって引き受けてしまう。

外に出てさっそく、巨人に出くわし逃げ惑うミッキーだが、巨人の服の中に潜り込み、針と糸を使って巨人の体を縛り上げ成敗に成功する。
そして、ミッキーとミニーは結婚しメリーゴーランドに乗ってキス
ミッキーの巨人退治(Brave Little Tailor)

この作品はグリム童話の「勇ましいちびの仕立て屋」を元にした作品で、1939年の第11回アカデミー賞で短編アニメ映画賞にノミネートされたが、同じディズニーの短編『フェルディナンド(Ferdinand the Bull)』に敗れた。

『ミッキーのクッキーパーティー(Mickey’s Surprise Party)』1939年2月18日

あらすじ

ミニーはミッキーの誕生日にクッキーを焼くが、ミニーの愛犬のフィフィが誤ってポップコーンを生地の中に落としてしまう。
何も知らないミニーは、その生地をオーブンに入れる。
間もなく、ミッキーとプルートがやってくるが、ミッキーが焦げた匂いに気が付き、ミニーがキッチンに駆け込むが、クッキーの中のポップコーンが弾け始め、クッキーは台無しに。

ソファで泣いているミニーを慰めようとするが、ミニーは大きな声で泣き続けるばかり。
ミッキーはあるアイデアを思いつき、大急ぎで市場へ買い物へ行く。
あっという間に帰ってきたミッキーは”ナショナルビスケットカンパニー”の製品をたくさん見せて、ミニーは喜び、ミッキーの顔中にキスをする。

この作品は、小さなプルートとフィフィの物語にもなっていて、プルートははじめ骨を加えてミッキーと共にやってくる。
その骨をフィフィにプレゼントするがフィフィは気に入らずそっぽを向いてしまう。
その後、ミッキーが市場へ行く際にプルートも同行し、プルートはドックフードの箱を咥えて帰ってくる。
そのドックフードをフィフィに渡すとフィフィは気に入り、プルートとフィフィの関係もラブラブになる。

新デザインとなったミッキーとミニーが初登場

この作品は2つの注目ポイントがあって、その一つがミッキーとミニーのデザイン変更です。
細かな変更点はその後もいくつかあるが、大きな変更点はその後行われておらず、このミッキーとミニーのデザインは2024年現在でも使用されている。
大きく変更された箇所は目のデザインだが、この作品は新デザインのためのテスト作品でもあった。
特に新デザインの目が、表情豊かに機能するかどうかが確かめられた。

ミッキーの靴の色もこの後、変更され、この作品はミッキーが黄色い靴を履く最後の作品でもある。

”ナショナルビスケットカンパニー(現:ナビスコ)”がスポンサーとなった作品

もう一つは、言われないと気が付かないかもしれないが、これは企業がスポンサーとなった初めてのミッキーアニメでもある。

これまでウォルトは、公共の場での”コマーシャル”という考えを嫌い、商業的な絡み合いを避けていたが、このアニメは1939年2月、サンフランシスコで開催されたゴールデンゲート国際博覧会(GGIE)で初公開され、ナビスコ劇場で上映された、広告を兼ねた作品となった。
そのためか、通常の劇場公開作品よりも上映時間が短く5分15秒となっている。

また、サンフランシスコでの公開後、ニューヨーク万国博覧会でも上映されたが、最後のナショナル・ビスケット・カンパニーの製品が西海岸と東海岸で入手可能な製品を反映して異なっていたため、最後のカットだけ変更され、2バージョンが存在する。

ミッキーのクッキーパーティー(Mickey’s Surprise Party)

ミッキーとミニーの馴れ初めを描いた作品?『ミッキーの青春手帳(The Nifty Nineties)』

『ミッキーの青春手帳(The Nifty Nineties)』

あらすじ

1890年代の春を舞台にした作品で、ある日ミッキーとミニーが公園ですれ違うところからはじまる。
そこでミッキーとミニーはお互いに一目ぼれ。
ミニーは、わざとハンカチを落としてミッキーの気を引いて、2人はボードビルショーに参加する。

はじめは悲しい物語のスライドショーを見てミニーは涙。
次に先ほどとは打って変わってコメディアン二人組のショーを見る二人。
ショーが終わるとミッキーとミニーは和やかな雰囲気で劇場を後にし、ミニーはミッキーが運転する車に乗って田舎道を走る。
自転車に乗ったグーフィーにすれ違いその後、ドナルドとデイジー・ダック、ヒューイ、デューイ、ルーイが5人乗りの自転車に乗ってすれ違う。
最後は坂道で牛との衝突事故をおこしてしまうが、二人は牛を真ん中に楽しそうに笑っておしまい。

この作品は原題が ”The Nifty Nineties” なので日本語訳は「素敵な90年代」となる。
1941年公開の作品なのでこの”90年代”は当然1890年代のこと。
つまりミッキーとミニーの映画が始まる以前の過去を描いた作品ということになる。
ここでミッキーとミニーの素敵な出会いを描いているわけです。

また、セリフは無いが「デイジーダック」とドナルドダックの甥「ヒューイ、デューイ、ルーイ」がミッキーの短編シリーズで初出演する作品でもある。

ミニーの声を演じた声優「マーセリット・ガーナ」最後の作品

この作品の公開は1941年6月20日で、1941年に退社した”ミニーマウスの声”を11年間演じ続けた「マーセリット・ガーナ(Marcellite Garner)」最後のミッキー短編作品となった。

彼女は1930年2月の入社時には”セル画家”として働いていたが、間もなくミニーマウスの声として抜擢され、1930年5月公開の『カクタス・キッド』から、40本以上の作品でミニーと他のシリーシンフォニーシリーズのキャラクターの声などを演じた。

なお、ガーナ以前のミニーの声はウォルトディズニーが演じている。
ミッキーの声も『蒸気船のウィリー』からウォルトディズニー自身が演じ彼の最後の作品は1947年の『ミッキーのダンスパーティー(Mickey’s delayed date)』となっている。

この作品はミッキーとミニーがデートをするという今までにないラブラブでまったりとした珍しい作品だが、個人的にはマーセリット・ガーナのために書かれたシナリオに思えるんだが、皆さんはどう思いますか?

ミッキーの青春手帳(The Nifty Nineties)

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