ディズニーの起源は『アリス・コメディ』

『アリス・コメディ』は1923年10月から1927年8月までウォルト・ディズニーにより制作された一連のアニメシリーズ作品。
「アリス(Alice)」という名前の実写の少女「ジュリアス(Julius)」という名前のアニメーションの猫が、アニメの世界で冒険をするという内容で、アニメの世界に現実の少女を入れるというアイデアは、当時の映画史の中のでは類を見ないものであった。
全57作が制作され、すべてウォルト・ディズニーが監督、アニメーションはウォルトディズニーやアブ・アイワークスなどが担当した。

「アリス・コメディシリーズ」

『アリス・コメディ』の誕生

ウォルト・ディズニーは1923年、カンザスシティのラフォグラム・フィルムLaugh-O-Gram Studio)時代に、『不思議の国のアリス(Alice’s Wonderland)』と題した短編映画を制作した。
この映画はその題名の通り、ルイス・キャロル(Lewis Carroll)『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』からインスピレーションを得て制作された映画だった。

しかし会社は7月に倒産し、映画も一般公開されなかったため、ウォルトはハリウッドに渡り『不思議の国のアリス』を売り込みを決意する。
努力の末、最終的にウィンクラー・ピクチャーズのマーガレット・J・ウィンクラーが「アリス・コメディシリーズ」の配給に同意したため、ウォルトディズニーは兄のロイと提携してディズニー・ブラザーズ・カートゥーン・スタジオを設立し「アリス・コメディ・シリーズ」が、1924年に正式にスタートすることとなった。

この時のことについて、「ウォルト・ディズニー・アーカイブス」のディレクター、「レベッカ・クライン」の発言。

「ウォルト・ディズニー・カンパニーが正式に発足したのは、1923年10月16日、ウォルト・ディズニーがハリウッドにある叔父の自宅で、ごく簡単な契約書に署名したことに始まります。この契約によってウォルトと兄ロイ・ディズニーは、サイレントカートゥーン『アリス・コメディ』シリーズを制作・配給できるようになり、この契約こそが100年にわたり世界中を魅了してきたディズニーの魔法の、開発と制作への扉を開きました。

ウォルト・ディズニー・アーカイブスのディレクター、レベッカ・クライン

「ピート」も登場していたアリスコメディのキャラクター

「アリスコメディ」は「ピート」のデビュー作品でもあるため、コアなミッキーファンは見たことがある人も多いと思う。
ピートが初登場するのは15作目の『アリスの謎解きパズル(Alice Solves the Puzzle)』で、これを見ると初期のピートは「ネコ」ではなく「クマ」として描かれていたことがわかる。

「アリスの謎解きパズル(Alice Solves the Puzzle)」

100年前に描かれた『ディズニーランド』

アリスコメディシリーズ『不思議の国のアリス(Alice’s Wonderland)』とは

アリスコメディシリーズ」の第一作目のパイロット作品『不思議の国のアリス(Alice’s Wonderland)』は、実写のアリスがアニメのスタジオに入り、アニメが作られるのを目撃するところから始まる。

アニメの制作現場に感動したアリスが、その夜不思議な夢を見る。
その夢は、アリスがアニメの世界に入り、汽車に乗って山間を走っている夢。
やがて到着したところには、アニメのキャラクターたちがたくさんいて、アリスを歓迎してくれる。
アリスは象に乗りパレードに参加。。。
という内容。

夢を追い続けたウォルトディズニー

皆さんは「ディズニーランド」はどんなところかと言われれば何と答えますか?

ウォルトディズニーの夢と希望と魔法の世界が具現化されて「ディズニーランド」として現れたわけですが、やっぱり彼の心には100年前からディズニーランドがあったんだなぁと感じたのが、この実写とアニメを融合させた「不思議の国のアリス」です。

『不思議の国のアリス(Alice’s Wonderland)』

後に、長編のディズニー映画『ふしぎの国のアリス』が1951年に公開されるわけですが、この作品もウォルトはこの「アリスコメディ」のようにアリスを実写にすることにこだわっていたそうです。

ウォルトは晩年、1948年ごろからは、あれほど力を入れていたアニメーションの制作に代わってテーマパークの建設に熱中するようになっていったのも、やはり彼はアニメーションを作りたかったわけではなく、アニメーションの世界に入りたかった、そしてその世界にみんなを連れていきたかったから。
そう感じることができたのがこの「アリスコメディシリーズ」『不思議の国のアリス』です

巨万の富と成功を収めたウォルトディズニーですが、彼は決してビジネスマンでなく、どこまでも夢を追い続けたクリエイターでした。

ミッキー短編映画にも「アリス」が題材の作品がある

『ミッキーの夢物語(Thru the Mirror)』

1936年5月30日に公開されたミッキー短編映画にも小説『鏡の国のアリス』に基づいて作られた作品『ミッキーの夢物語(Thru the Mirror)』というものがある。
ミッキーマウスが鏡を通り抜けて、家にあるすべてのものが生き返る世界に入るという作品で監督は、後に『白雪姫』を監督したデイヴィッド・ハンドでした。

ミッキーの夢物語(Thru the Mirror)

アリスコメディシリーズはYoutubedeで視聴可能

アリスコメディシリーズはすべてパブリックドメインとなっているので、現存していない物を除き無料で視聴可能。
どなたかが作られた再生リストがあったので紹介します。

初めのサムネイルの作品が第一作目の『不思議の国のアリス(Alice’s Wonderland)』そのあと時系列順に25作品続きます。

※サムネイル右上クリックで再生リスト表示できます。
ピートが初登場した『アリスの謎解きパズル(Alice Solves the Puzzle)』

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