こちらで紹介する作品もすべてウィルフレッド・ジャクソンの監督作品です。
『アリとキリギリス(The Grasshopper and the Ants)』1934年2月10日公開作品
「アリとキリギリス」は日本人にも馴染みのあるイソップ童話(寓話)の1つですが、実はその起源は紀元前6世紀にもなる古い寓話集です。
日本では「キリギリス」で定着しているが、初めのバージョンでは「センチコガネ」であったらしく、他には「セミ」や「トンボ」などのバージョンがある。
また、物語の展開自体にも、大きく分けて2つのパターンがあり、一つは、アリがキリギリスに食べ物を分けて、キリギリスは改心して働くようになるパターン。
もう一つは、キリギリスを軽蔑したアリが食べ物を分けずに冷たく突き放し、飢えて死んでしまうパターン。
しかし、この作品はどちらのパターにも属さず、ディズニーらしいハッピーな最後で終わる。
一人で楽しくバイオリンを弾きながら踊り、歌っているところに、アリが一生懸命に餌を集めているのを見つける。
キリギリスは笑って、一匹のアリに「どの木にも餌はあるのだから働く必要はない」と言う。
そして「世界は私たちに生計を立てる義務がある」と歌う。
そのアリも踊り始めるが、そこにやって来た女王アリに気が付き、すぐに仕事に戻ってしまう。
女王アリは、冬が来たら態度を変えるとキリギリスに警告するが、キリギリスは女王の警告を聞かないで、また歌いだす。
やがて秋が過ぎ冬がやってくる。
キリギリスは空腹と寒さに震えながら雪の中を歩いていると、アリたちの家を見つける。
キリギリスはドアをノックし、アリたちはキリギリスを中に運び、暖めて食事を与える。
女王アリが近づき、キリギリスは留まらせてほしいと懇願。
女王アリは、働く者だけが留まってよいと告げ、バイオリンをわたす。
キリギリスは追い出されると思ったが、女王アリはバイオリンを弾くように言う。
最後は、アリたちが踊る中、キリギリスは楽しそうにバイオリンを弾き「私は世界に対して生計を立てる義務がある!」と歌う。
生きるためには食べなければならないが、芸術(娯楽)無くしては生きる意味が無いというのもまた真理。
噛みたばこをぺっぺっぺと吐き散らすキリギリスは嫌だが、このキリギリスの生き方を否定しないディズニーの「アリとキリギリス」は素晴らしいと思う。
また、今ではよく使われる、アニメのキャラが寒さで青くなるという表現がほぼ初めに使用された作品でもある。
声を聞くとすぐにわかるが、この時の「キリギリス」の声優は、グーフィーを演じた声優「ピント・コルヴィグ(Pinto Colvig)」。
そして、この短編で歌われている歌は、後にグーフィーのテーマソングとして繰り返し使われることになる“The World Owes Me a Living(世界は私に生きる義務がある)” で、この曲は『白雪姫』曲を手掛けたフランク・チャーチルとラリー・モリーによるものです。
『うさぎとかめ(The Tortoise and the Hare)』1935年1月5日公開作品
このお話も日本人になじみ深いイソップ童話の一つですね。
カメがウサギの傲慢な態度にうんざりし、ウサギに競争を挑む。
その競争中、ウサギは余裕綽々で居眠りしている間にカメに先を越されて負けてしまうお話し。
ディズニーの話では、ウサギの速さがアニメーションらしく強調されて、昼寝の他、女の子のウサギたちに、弓矢よりも早く、バットで打ったボールよりも速いことを見せびらかします。
最後は首を伸ばしたカメが僅差で勝利するという物語になっている。
また、ウサギには「マックス」、カメには「トビー」という名前がある。
Today marks the 89th anniversary of the #SillySymphony short, "The Tortoise and the Hare".
— Disney Wiki (@Disney_Wiki) January 5, 2024
A boastful hare, challenges a tortoise in a foot race. Overconfident about his prospects and unaware of his opponents abilities, the hare takes the race lightly, unaware of what lies ahead. pic.twitter.com/cvMGr5NbUK
『うさぎとかめと花火合戦(Toby Tortoise Returns)』1936年8月22日公開作品
この話は先ほどの『ウサギとカメ』の続編で、「マックス(うさぎ)」と「トビー(かめ)」がボクシングで対決する話。
あらすじ
前作に続き自信満々のマックスは、第1ラウンドでトビーをひどく負かし、第2ラウンドで、最後の一撃を宣言するが、トビーは殻の中に隠れる作戦に。
マックスは殻の中にバケツの水を入れるが、マックスの顔に水を噴射し反撃。
次にマックスは、殻に花火を入れる。
しかしこの花火の爆発が、マックスを打つ打撃になって、トビーが形勢逆転。
最後は大きな花火が打ち上がり、マックスは待機していた救急車の車内へ飛ばされ退場となる。
この作品では観客として、シリーシンフォニーの他のキャラクターや、ドナルドダック、グーフィーと思われるキャラも登場している。
#OnThisDay in 1936, "Toby Tortoise Returns" debuted!#Disney #DisneyDaily #SillySymphonies pic.twitter.com/0yNe3g8D0c
— Disney Daily (@DisneyDaily3) August 23, 2019
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