『黄金の王様(The Golden Touch)』1935年3月22日公開作品
この物語は、日本人にはあまりなじみのない「ギリシャ神話」の話で、触るもの全てを黄金に変える力を得たミダース(ミダス)王の物語に基づいている。
この作品は「ウォルト・ディズニー」が監督した最後の映画として有名な作品です。
原作のあらすじ
ミダースは、酔っぱらいのシレーニをワインの神ディオニューソスに引き渡したとき、ディオニューソスはミダースの求めに応えて「触れるものすべてを黄金に変える力」を報酬として与えた。
最初は喜んだミダースであったが、食べ物や飲み物までもが黄金になってしまい、飢えるようになり、やがてその力を呪うようになる。
飢餓から解放されることを願ったミダースは、ディオニューソス元に行き、彼は川で行水をするようにと指示をする。
言われたとおりに川に行き水に触れると、黄金の力は川に移り、元の状態に戻ることができた。
その後、ミダースは富と贅沢を嫌い、田舎に住むようになった。
Today marks the 86th anniversary of the Silly Symphony short, The Golden Touch, a story of King Midas. It was the last short Walt Disney would direct himself. pic.twitter.com/B6gy3ni45l
— Disney Wiki (@Disney_Wiki) March 22, 2021
ディズニー作品のあらすじ
非常に裕福なミダース王は、女性にもワインにも興味がなく、黄金にだけ関心を持っていた。
そこにゴールディという名のエルフが現れ、触れるものすべてを黄金に変える力を授かる。
ゴールディは黄金の力は呪いになるだろうと警告したが、ミダースは嘲笑した。
最初、ミダースは新しく手に入れた力に満足したが、食事の時間、ワインも果物も肉も食べる前に全てが金に変わってしまい、何も食べることができなくなったことを知る。
恐れた彼は、ゴールディの名を叫び
「飢えさせないでくれ! ハンバーガー サンドイッチと引き換えに、金も王国もすべて奪ってしまえ!」と救いを求める。
ゴールディは、城や王冠、衣服など、ミダース王の所有するすべてのものと引き換えに、黄金に変える力を取り除いた。
最後、ミダース王はハンバーガーを食べられることに唯々喜ぶ。
ディズニーの話ではミダースがあらゆるものを黄金に変える能力を持つまでの経緯と、最後の終わり方が少し異なり、ギリシャ神話の神は出てこない。
終わり方もディズニーらしく楽しく描かれ、乞食のようになる極端な変化で笑わせてくれる。
この作品まで5年間監督をしていなかったウォルトですが、よく監督を批判していたらしい。
そこで自ら監督をすることにした作品でしたが、「堅苦しい、テンポが遅い、単調」など多く批判を浴びた。
その後、「ディズニーは、スタジオ内でこの話題を持ち出すことを禁じ、監督をあきらめ、プロデューサーに転身した。」とのことですが、そこまでひどいかなぁ?
個人的には割と好きな作品です。
『ネズミ三銃士(Three Blind Mousketeers)』1936年9月26日公開作品
この短編はイギリスの童謡「三匹の盲ネズミ」とアレクサンドル・デュマ・ペールによる冒険活劇小説『三銃士』に基づいている作品。
あらすじ
邪悪で狡猾な猫が、いつも食べ物を盗みに来る三匹のネズミを捕まえるため、いくつもの罠を仕掛けて眠りに就く。
猫が眠りに就いた後、3 匹のネズミは壁の裏から部屋の中へ侵入し、いくつもの罠があるにも関わらず、まるで何も無いかのように、たやすく食料を盗み取る。
最後はワインを飲もうとコルクを開けるが、コルクが眠っている猫に命中してしまい、猫は目覚めて、武器を手に取りネズミを追いかける。
しかし、ネズミたちはうまく逃げ切り、猫は自分が仕掛けた罠にことごとく捕らえられ、最後はガラスを突き破って外に逃げていく。
原作の「三銃士」とは遠く離れた作品になっていて、かつ実際は盲目と思えないほどの機敏な動きを見せる3匹のネズミ。
ピートのような猫とねずみの対決が楽しく描かれている作品です。
David Hand and Jack Cutting’s THREE BLIND MOUSEKETEERS (1936) was released on this date. 🐭 pic.twitter.com/R4tc1cTh3F
— The Tinseltown Twins (@TinseltownTwins) September 26, 2023
『田舎のネズミ(The Country Cousin)』1936年10月31日公開作品

この作品はイソップ童話(寓話)の「田舎のネズミと町のネズミ」に基づいた作品。
ウィルフレッド・ジャクソンにより監督作品で、1936年のアカデミー賞短編アニメ賞を受賞した。
原作
田舎に住んでいる一匹のネズミが、御馳走を振る舞おうと仲の良い町のネズミを招待した。
二匹は土くれだった畑へ行き、麦やトウモロコシ、大根を引っこ抜いて食べていたのだが、町のネズミがこう言った。
「君はこんな退屈な生活によく暮らせるな。ねえ、僕のところへ来ない?そうすれば珍しいものが腹一杯食べられるよ。」
田舎のネズミは二つ返事で承知すると連れだって町へと向かった。
ある建物に着くと町のネズミは、パンやチーズ、肉といった見た事も無い御馳走を田舎のネズミに見せた。
めくるめく御馳走を前に田舎のネズミはお礼を述べ、食べようとした。
その時、何者かが扉を開けてきた。
二匹は潜りこめる狭い穴をみつけると一目散に逃げ込んだ。
そして、彼らが食事を再開しようとすると、また別の誰かが入って来た。
すると田舎のネズミは、急いで帰り支度を整えてこう言った。
「こんなに素晴らしい御馳走を用意してもらってすまないんだけど、こんなに危険が多いのは御免だね。僕には土くれだった畑で食べている方が性に合ってる。あそこならば、安全で怖いこともなく暮らせるからね。」
#cartoon "Cousin de campagne/The country cousin" (1936) une production #WaltDisney pic.twitter.com/4FHvIRcYbO
— snoopy73denotrecinema (@snoopy00073) December 7, 2021
ディズニー作品のあらすじ
田舎のねずみは従兄弟の都会のねずみから「田舎者をやめて都会に一緒に住もう」という電報を受け取る。
田舎のねずみは線路に沿って街に向かって歩き、都会のねずみの家に到着。
中に入ると、巨大なチーズやハム、シャンパン、ゼリーなど、見たことのない食事に驚き食べ始めるも、音を立てずに静かに食べるように注意をされる。
その後、何も知らずにマスタードを食べてしまった田舎のねずみは、辛さを鎮めようとシャンパンを飲み干し、ひどく酔っぱらい、バターの上で足を滑らせ、大きな音を立ててしまう。
猫に気付かれてしまうことを恐れた都会のねずみは大慌て逃げるが、酔っ払っている田舎のねずみは猫の尻を蹴り上げてしまう。
都会のねずみは大慌てで部屋に入るが、田舎のねずみは猫に追われて窓から外に逃げ、人込みや、自転車、自動車、路面電車などにひかれそうになりながら、故郷へと逃げ帰る。
内容は原作に忠実で、社会風刺性を持ちながらもハラハラさせられる展開が楽しい作品。
コメント