基本的に同じキャラが登場しない、一話完結のシリーシンフォニーシリーズで例外的にプチシリーズ化したのが1933年5月公開の『三匹の子ぶた』。
この作品で登場する”3匹の子ぶた”と”狼”を『赤ずきんちゃん』『オオカミは笑う』『働き子ぶた』の3作品でそれぞれ登場させた。
さらに、連載漫画も作られ、1936年の1月から8月と1938年の5月から8月に掲載されている。
初めの2作品『三匹の子ぶた』と『赤ずきんちゃん』はグリム童話に基づいた内容になっているが、『オオカミは笑う』はイソップ物語の「オオカミ少年」の話をヒントにしてかなりアレンジされた作品、最後の『働き子ぶた』はオリジナル作品となっている。
驚異的な成功を収めた『三匹の子ぶた』
グリム童話からの物語『三匹の子ぶた(Three Little Pigs)』は、1933年5月27日に公開されたのち、大人気となり何ヶ月も上演され続け、1934年末までは、なんと”ミッキーマウス”を凌ぐ人気を誇っていた。
1934年「アカデミー賞短編アニメ賞」も受賞し、今でも史上最も成功した短編アニメとみなされている。
監督はバート・ジレットで、彼は同じくアカデミー賞作品の『花と木』も監督している。
イギリスの伝統的な童話であった「三匹の子ぶた」だが、日本で有名になったのはディズニーの功績が大きい。
この作品が大ヒットしたのは、映像や音響などが当時の最新技術として非常に優れたものであったこともあるが、世界恐慌と不安定な国際情勢の中にあった当時の社会的不安を「狼」として、それに打ち勝つ自分を「知恵深い子ぶた」に投影して、不安を払拭したかった当時の人々の願いが反映されたことも大きい。
物語の流れはオリジナルの寓話とほぼ同じであるが、この作品ではお母さん豚は登場せず、三匹の子豚と狼のみで、子豚にはそれぞれ「ファイファー・ピッグ」「フィドラー・ピッグ」「プラクティカル・ピッグ」という名前があり、それぞれが楽器を演奏しているなどディズニーらしい演出もある。
一番頭が良くてレンガの家を作る働き者は「プラクティカル・ピッグ」で、続編も彼が中心となって話が展開してゆく。
なお、初めに公開されていた『三匹の子ぶた』の中で、狼がブラシの行商人に変装している場面があり、行商人の変装は「典型的なユダヤ人男性」のものであったためユダヤ人協会からの抗議があった。
当時は問題がないと判断されたため放置されたが、第二次大戦後に「大学に通いながら働いている大学生」に変更されているた。
続編として作られた3作品
『赤ずきんちゃん(The Big Bad Wolf)』
初めに続編として作られたのが、『三匹の子ぶた』の約一年後の1934年4月14日に公開された”The Big Bad Wolf(大きな悪い狼)”という原題の作品で、邦題は『赤ずきんちゃん』と訳されている。
グリム童話の「赤ずきん」とおおまかには同じ内容の作品で、狼が赤ずきんちゃんを食べようとおばあさんに変装して待ち伏せする話は同じだが、おばあさんも赤ずきんも狼に食べられることはなく、最後はプラクティカル・ピッグが狼を撃退し赤ずきんちゃんとおばあさんを助ける話になっている。
この作品も前作と同じバート・ジレットが監督をした。
『オオカミは笑う(Three Little Wolves)』
3作目の作品は、イソップ物語の「オオカミ少年」の話がベースとなっている話で更に2年後の1936年4月18日に公開された。
内容は、かなりアレンジされ、オオカミ少年は遊び好きの2匹の子ぶたが演じ、狼に騙されてつかまってしまった2匹の子豚たちをプラクティカル・ピッグが狼撃退用の巨大な装置をもって助けに行くという、童話と異なり最後はハッピーエンドで終わる。
『働き子ぶた(The Practical Pig)』
4作目は1939年2月24日に公開され、プラクティカル・ピッグのエンジニアとしての能力がさらに進歩し、嘘発見器を制作。
狼は相変わらず子豚を食べようとして狙っているが、最後はプラクティカル・ピッグに捕まり拘束され、拷問されるという内容に。
作品と共にヒットした曲『狼なんか怖くない』
この4作品で繰り返して歌われる歌「狼なんか怖くない (Who’s Afraid of the Big Bad Wolf)」は、ミッキー短編アニメや『白雪姫』『ダンボ』『バンビ』『ピーター・パン』など多くのディズニー音楽を手掛けたフランク・チャーチル(Frank Churchill)による作詞作曲で、当時、世界恐慌で疲弊していた経済と人々の心を鼓舞するための応援歌としても親しまれヒット曲となった。
その後も、多くの歌手やグループにカバーされ、現在でもディズニーの音楽の中でも最も有名な曲の一つとなっている。
Happy Birthday, to the late #DisneyLegend, Frank Churchill
— Disney Wiki (@Disney_Wiki) October 20, 2023
He was an American composer of popular music for films.
He wrote most of the music for Disney's 1937 movie, Snow White and the Seven Dwarfs, including "Whistle While You Work" and "Someday My Prince Will Come". pic.twitter.com/6WHEysagzl
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