シリーシンフォニーシリーズのモノクロ作品は、1929年8月22日公開の第1作『骸骨の踊り(The Skeleton Dance)』から1932年10月1日公開の『昆虫救助隊(Bugs in Love)』までの約3年間で合計29作品が作られた。
決まったキャラクターがいないという理由もあるが、ミッキーのシリーズと比べてどの作品も非常に個性的。
どれも一度は見て欲しいが、モノクロ時代29作品の中から特におすすめの作品をいくつか紹介します。
四季を題材にした4作品
シリーシンフォニーシリーズ初期に公開された、『春(Springtime)』『夏(Summer)』『秋(Autumn)』『冬の夜(Winter)』という題の季節を題材とした作品。
はじめの『春』はシリーシンフォニーシリーズ第3作目として1929年10月24日に公開された作品で、『夏』は1930年1月16日、『秋』は2月15日、『冬の夜』は10月30日に公開、なぜか実際の季節と全然あっていないが理由は不明。
物語の内容は、虫や動物・植物が季節の訪れに応じた行動や喜びが面白おかしく表現され、ディズニーならではの擬人化された動植物がかわいらしく、楽しく幸せない気分にさせてくれる作品となっている。
Today marks the 93rd anniversary of the animated #SillySymphony short, #Springtime.
— Disney Wiki (@Disney_Wiki) October 24, 2022
Flowers, ladybugs, centipedes, birds, and frogs dance (and devour each other) in time to the usual blend of themes from the light classics. pic.twitter.com/TyJbxGk8L9
『春』はウォルトディズニーが監督し、『夏』と『秋』はアブアイワークスの監督。
『冬の夜』は、再びウォルトディズニーの監督となっているが、これは、アブアイワークスが離職したため。
アブアイワークスは後にディズニーに戻ってくるが監督はしなかったため、『秋』は彼のディズニー社での最後の監督作品となった。
なお、1961年に公開された『101匹わんちゃん』で子犬たちが夢中になってテレビを見ている場面があるが、そこで流されているのが、シリーシンフォニーの『春』の映像。
『童話行進曲(Mother Goose Melodies)』
Today marks the 93rd anniversary of the #SillySymphony short, "Mother Goose Melodies".
— Disney Wiki (@Disney_Wiki) April 17, 2024
Various storybook characters come to life in song and dance, to the amusement of Old King Cole. pic.twitter.com/gQkxBDwhzl
この作品は、1931年4月16日公開された現代の通りイギリスで古くから伝えられてきた「マザー・グース」の童謡を題材とした作品。
監督は『花と木』や『三匹の子豚』でアカデミー賞短編アニメーション賞を受賞しバート・ジレット(Burt Gillett)が務めた。
物語はマザー・グースの1編で登場する”オールドキングコール(コオル老王)”が様々な擬人化された動物たちに先導されて登場するところから始まる。
その中にはミッキーやクララベルだろうと思われるキャラたちも登場して、はじめから楽しませてくれる。
椅子に座ったオールドキングコールの前に持ってこられた大きなマザーグースの本からは、キャラクターたちが次々と現れ、ページをめくるごとに「マフェットお嬢さん、ジャックとジル、シンプル・サイモン、ハンプティ・ダンプティ、ジャック・ホーナー」などのマザーグースの登場人物が登場し、マザーグースの短い物語が次々と展開して行く。
この作品は2年後の1933年7月に『おとぎ王国(Old King Cole)』としてテクニカラーでセミリメイクされている。
A Happy 89th Anniversary to Disney's Old King Cole! #Disney #SillySymphony https://t.co/Ob8Xzeanef pic.twitter.com/tG5ztp7O3Y
— sophieTucker88🎀 (@SophieTucker88) July 30, 2022
『桃源の夢(The China Plate)』
1931年5月23日に公開された中国が舞台の珍しい作品。
陶器に詳しい人なら知っていると思うが、物語の冒頭に登場するのは「ウィローパターン」または「ブルーウィロー」と言われる、中国の水墨画を思わせる絵が描かれた中華風のお皿。
この「ウィローパターン」は18世紀後半に英国の上流階級の間で東洋の陶器が流行、それをビジネスにしようと英国の陶磁器メーカーによって創作されたもの。
図柄のパターンが決まっていて、その模様を元にさらに男女の恋物語が語られるようになったことから大人気になった。
そのウィローパターンの物語が題材となっているのが、この『桃源の夢』。
物語は、ウイロ―パターンの中に入り込むような形で物語がスタートし、若い男女の恋物語とそれを阻止する父親とのやり取りが展開する。
ストーリーは実際のウイロ―パターンとはだいぶ異なっているが、清王朝時代の中国の雰囲気を出しているディズニーとしても珍しい作品になっている。
『ワンちゃん放浪記(Just Dogs)』
1932年7月30日に公開されたバート・ジレット監督の作品で、特に新しい要素も無いが「プルート」が初めて単独主役で登場した作品として有名な作品。
なお、シリーシンフォニーシリーズはではもう一つプルートが主役で登場している作品『プルートはお母さん(Mother Pluto)』がある。
この作品は1936年11月14日に公開されたカラー作品で、プルートの犬小屋にいる雌鶏がたくさんの卵を産み付け、卵から孵ったひよこたちは嫌がるプルートを母親と思い追いかけるという作品。
Wilfred Jackson’s MOTHER PLUTO (1936) was released on this date. 🐣 pic.twitter.com/4htnWmTGLz
— The Tinseltown Twins (@TinseltownTwins) November 14, 2023
コメント